確率の議論で超重要な概念である確率変数というものを説明します.
●確率変数は確率と関連付いた写像である
確率変数は写像です。では、どの集合からどの集合への写像かというと標本空間から実数の空間への写像です。イメージとしてはこんな感じです。
しかし、上の図だけでは確率変数はただの写像ということになってしまい、わざわざ「確率」変数という名前を付ける必要はありません。実際には、次のような制約のついた写像を確率変数というのです。
加法族については
を参照してください。
●確率変数の確率分布
加法族の要素を確率測度で写したものが確率でした。このことを利用すると、次のように確率変数の確率分布というものが定義できます。
この確率分布という概念を通して、確率分布関数や確率密度関数というものが定義されます。
●確率分布関数と確率密度関数
色々な応用の場面で確率変数の「確率分布関数」や「確率密度関数」が使われます。確率分布関数は確率分布を使って次のように定義されます。違いは、確率分布は確率測度なので集合に対して実数が対応するのに対し、確率分布関数は実数に対して実数が対応することです。確率密度関数は応用の場面ではいきなり出てくることがよくあるのですが、数学的には確率分布関数が微分可能であるときしか存在しないことに注意すべきでしょう。また、確率分布関数の値は確率そのものですが、確率密度関数の値は確率ではないことに注意しましょう。確率密度関数はある領域で積分して初めて確率となります。
●参考文献
記事を書くときに参考にした本です。
●予告
確率変数の和の話をする予定です。確率変数がたくさん集まると凄くきれいな結果が成り立つということを説明します。