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初級Mathマニアの寝言

数学は色々なところで応用可能であり、多くの人が数学の抽象的な概念の意味や意義を鮮明に知ることができれば今まで以上に面白い物や仕組みが生まれるかもしれません。このブログは数学を専門にしない人のために抽象的な概念の意味や意義を分かりやすく説明することを目的としています。数学を使って何かしたい人のお役に立てたら幸いです。

行列の指数関数と対数関数

この記事では、行列の指数関数と対数関数について解説します。Lie群とLie環という概念を理解するための準備に相当します。 ●行列の内積とノルム をn行n列の実数を成分に持つ行列全体の集合とします。このとき、 に以下の内積とノルムを導入できます。 任意の…

等質空間

この記事では、等質空間の概念について説明します。等質空間なるものをなぜ紹介するかというと、また別の記事で実数を成分に持つ正定値対称行列全体の集合 を幾何学的に考えたいからです。そのような集合を考えたい理由は、 上での最適化問題が工学の問題を…

商集合

この記事では、商集合という概念について説明します。この概念を理解しないと、少し高度な数学は理解できないというぐらい重要な概念です。 ●同値関係 同値関係という概念を使って商集合は定義されます。同値関係よりも一般的な二項関係の概念は以下の通りで…

凸解析

この記事では最適化理論の基盤となる凸解析の理論を解説します。 ●最適化問題とは 目的関数と呼ばれる関数 を制約条件 のもとで最小化する問題を最適化問題と呼びます。特に、 が凸関数で、 が凸集合である時、凸最適化問題と呼びます。凸最適化問題は効率的…

共役作用素

この記事では今後の記事を書くために必要となる共役作用素について簡単にまとめます。共役作用素とは次のように定義される線形作用素です。 正確には上の の定義域は で稠密である必要があります。そのときに, 上の が一意に定まります。 有界線形作用素 の…

伝達関数

この記事では線形システムの制御で重要な役割を果たす伝達関数について説明します。 ●ラプラス変換 伝達関数を理解するためには関数のラプラス変換を知っている必要があります。ラプラス変換は次のように定義されます。 上のラプラス変換は前の記事で説明し…

可制御性・可観測性

前の記事で説明した線形システムの制御を考えるにあたって重要な可制御性と可観測性の概念について説明します。 ●線形代数の復習(ケーリー・ハミルトンの定理と不変部分空間) システムの可制御性や可観測性の性質を調べるためには線形代数の知識が少し必要で…

線形システムと制御

制御の目的は対象とするシステムに適切な入力を加えて所望の出力を実現することです。 この記事では制御を実行する手順と、システムの最も重要な数学モデルである線形システムについて説明します。 ●制御の手順 制御するときに考える入力や出力は一つだけと…

クラメール・ラオの不等式

前の記事でフィッシャー情報行列という確率分布の作る空間にリーマン多様体の構造を定める行列を紹介しました。今回はフィッシャー情報行列とクラメール・ラオの不等式の関係を説明します。 ●不偏推定量 未知のパラメータを何らかの方法で推定すると真の値と…

情報幾何学1: 確率分布とリーマン多様体

今回は確率分布が作る幾何学について説明します。 ●フィッシャー情報行列とリーマン多様体 まずは、前の記事で説明したような応用上よく出てくるガウス分布が幾何学的に次のように理解できることに注意しましょう(多様体についてはこちら)。 上の例のよう…

リーマン多様体

これから何回かに渡って情報幾何学について説明していきます。情報幾何学をきちんと理解するためにはリーマン多様体という概念を知る必要があります。リーマン多様体とは簡単に言うと多様体の各点に内積が導入された集合のことです。多様体のことを知らない…

大偏差原理

前の記事で平均から大きく離れたところの生起確率の簡単な評価を与えました。今回はその評価をさらに精密にして、数理的な構造をもっと詳しく見たいと思います。前の記事で次の評価を与えました。 上の は確率変数 の積率母関数、 は確率変数 のキュムラント…

エントロピー、カルバック・ライブラー情報量、最尤推定法

前回簡単に説明した大偏差原理をエントロピーの概念を使って詳しく説明するために、今回はエントロピーについて説明します。また、カルバック・ライブラー情報量、最尤推定法などについても説明します。 ●エントロピー 有限個の事象のエントロピーは次のよう…

平均から大きく離れたところの生起確率

前の記事では中心極限定理について説明しました。中心極限定理の主張は次のようにも解釈できます。 しかし、中心極限定理だけでは次のような疑問が生じます。 図で気持ちを書くとこんな感じです。 平均と同じオーダーの偏差が生じる確率を0と答えるのではな…

中心極限定理

前の記事で少し書いた中心極限定理について詳しく説明します。中心極限定理は直感的にはたくさんの確率変数の和の確率分布関数はガウス分布(正規分布)になるということを述べています。一つ一つの確率変数にあまりきつい条件を課すことなく言えるので、色々…

確率測度と弱収束

前の記事で確率測度や、確率測度から定義される確率分布関数というものを紹介しました。今回はこの記事で少しだけ書いた中心極限定理をきちんと説明するために確率測度の例や確率測度の弱収束について紹介したいと思います。 ●確率分布関数から確率測度を定…

超関数

超関数とは関数の概念を一般化したもので、もともとは物理の方で導入されたディラックのデルタ関数という計算に便利なものを数学的に正当化しようとして考え出されました。ディラックのデルタ関数は直感的にはガウス分布の確率密度関数の分散を0に限りなく近…

フーリエ変換

フーリエ変換は色々な分野で応用されている便利な道具です。例えば、信号の解析をするためにフーリエ変換の原理を取り込んだFFTアナライザというものが計測関係の企業で使われています。FFTアナライザの中で行われていることはググるとたくさん出てきますの…

確率変数の和 -合成積との関係-

前の記事では確率変数という概念を導入しました。今回は確率変数の和の確率分布関数はどうなるかを考えてみましょう。つまり、下の図のように二つの確率変数 が与えられたとき という新しい確率変数の確率分布はどうなるか?ということを説明したいと思いま…

確率変数とは何か

確率の議論で超重要な概念である確率変数というものを前の記事で述べたように数学とは集合の性質を写像を通して調べる学問ということを意識して説明したいと思います。 ●確率変数は確率と関連付いた写像である 確率変数は写像です。では、どの集合からどの集…

確率とは何か

コインを投げたとき表が出る「確率」は で、サイコロを投げたとき1が出る「確率」は だとかよく言いますが、「確率」とは何でしょうか?そもそもなぜ「確率」というものを考える必要があるのでしょうか? ●「確率」を考える理由 「確率」の定義を考える前に…

小、中、高と大学以上の数学の違いについて

小学校、中学校、高校までは数学が得意だったけど、大学で習う数学はよく分からないという人は意外と多いのではないでしょうか?大学以上の数学が小、中、高に比べて習得しにくい本質的な原因は何なのか考えてみましょう。原因が分かれば大学以上の数学も学…